リモートワークと地方の給与水準について

REMOTE(邦題:強いチームはオフィスを捨てる)読了

rebuild.fmをはじめ、しばらく前からあちこちで話題のREMOTE(邦題:強いチームはオフィスを捨てる)をようやっと読みました。いや、読み終わったのは結構前なんですが、あれやこれや忙しくて読書メモをまとめ、アップしてる時間がなくて。。。

言いたいことは色いろあるんですが、その前に自分のポジションを明らかにしておきます。 社会人歴は17-8年、就職以来東京1年、静岡に3-4年?、その後東京に戻りずっと仕事をしていましたが、約3年前から沖縄でリモートワーク開始しました。勝手沖縄支店を名乗っての在宅勤務です。最近はカフェなどで作業をすることはほとんど無く(愛しのクリエイターズレジデンスが閉鎖されちゃってからは、月に1回あればいいほうかしら。。。)、完全に自宅の仕事部屋で作業をしています。お陰でうちの犬達は留守番が大の苦手です(ってそれは関係ないか)。

メリットとデメリットは本書でほぼ言い尽くされている

この本のポジションはもちろん37Signals(現BaseCamp)ですから、「リモートワーク最高!」という所が多く、まあきちんとした現状分析もアオリも両方多く入っているのですが、それをどう消化するかは読んだ人それぞれなので置いておきましょう。書かれていることそれ自体は僕の経験上間違いないことがほとんどです。

でも現実をもうちょっと見た方がいいと思う

「書かれていることは概ね正しいけど」、とか言うと自己啓発本の批判見たくなって嫌なんですが、さすがに色々突っ込みたくなることはあります。
例えば、デメリットとしてあげられている「仕事し過ぎちゃう」という話なんですが、まあ、これは、実際あります。上手くメリハリ付けないと、気づいたらずっと仕事をし続けているってパターンに陥りがちになります。
ただそれよりも、在宅ワークの敵は仕事を始められない/仕事にならない/布団から出られない/etc...というだらけてくる自分の姿勢なんですよね(笑)

(じゃああんたどうやってるの?というご質問というかリクエストがありましたら、それはまた別の機会にでも書きますね。。。)

仕事し過ぎを心配するより、ちゃんと自分をコントロールして仕事をする姿勢に持っていけるか、こっちを心配するほうが庶民の心配事としてはどう考えてもウェイトが大きくなるはずです。 それ採用の問題だよ!と本書には書かれていて、人によってはそう言われるかもしれませんが、現実問題、人不足なこの世の中、採用責任者全員が全員、イメージ通り思った優秀な人を採用できるわけではありませんので、これはどうしても避けられない問題かと思います。

リモートワークが可能な職種、というよりも可能な人を先に判断した方がいい

ですので、リモートワークでガンガン生産性をあげられる人というのは、かなり限られた人なんじゃないかな?というのが僕の実感。
見分け方のポイントとしては、そんなに難しく無いと思っていて、日々のオフィスの業務でもスタンドアローンで勝手にガンガン進んでいける人は、間違いなくリモートワークに向いてるでしょう。対面のコミュニケーションには問題あるけど、メールとかチャットとかなら問題ないよ、という人でも全然OK。
逆に、情報をディスパッチするのが仕事なのに抱え込んで悦に入る人とか、飲みニケーションしないとネゴできないとか、大きい声で威圧しないと会話すらできない人とかは、まず無理。まあこれはオフィスワークでも一緒ですか。。。

というわけで、沖縄でリモートワークを導入してみようかな?と思ったマネージャーの方とか居らっしゃいましたら、一緒に仕組みづくりをお手伝いしてみたいな、などと思ったりします。逆に内地の企業が沖縄にリモートブランチ作るってのもいいですよね!お声掛けください!

同一労働同一賃金の嘘

もう1つの突っ込みどころ、同一労働同一賃金という話が出てきますが、これってどこの惑星で成立しているんですか?誰が言い出したか知りませんが、「沖縄|タイ|インド|ベトナムに発注すると単価が安い」って言ってるじゃないですか!
もっと酷いのは、現地で採用して現地の給与水準で、必要なところ、例えば東京支社、大阪支社に飛ばしてそこで採用された人と同じ仕事をさせているにもかかわらず、安くこき使うパターン。これねぇ、奴隷と同じ理屈なんですが、大手さん含め普通にやってるからコワイ。

同一労働同一賃金にならない理由

同一労働同一賃金にならない理由って何なんだろう、とぼんやり考えてみました。逆に考えると、例えばじゃあ東京の雇用コストは何故高いか。地方、例えば沖縄と比べ生活コストが高い、ってのはまあ無くなないと思いますが、実際計算してみるとそこまでの差はないんですよ。プライマリの理由にあげるにはちょっと弱い。
やっぱり、人口が多い=採用活動に競合が多い=コスト競争がおこる、その結果給与水準が上がる、と考えるのが妥当なんじゃないかなぁ、という気がします。都内は人材流動性もすごく高いしね。
(これいま羽田行きANAの機内で書いてるんですが、ホワイトデーのチョコレートもらった!(笑)

何故地方の給与水準は低いままか

ここ3年位沖縄にいて、県内のIT関連業務従事者の皆さんとお付き合いさせて頂いてきてわかったのは、本当に異常に給料安いんです。これは何でかな〜と常々思っていたんですが、最近いくつか浮かんでいた理由がこの本をきっかけに、ちょっとわかってきたような気がします。
自分の考える理由、いくつか箇条書きにしてみます。
  • 経営層は技術者を尊敬していない
  • 人材流動性が低いため、競合が起こらず給与水準が上がらない
  • 「地方はそもそも貧乏」という嘘を信じてみんな騙されているのかも(お金はあるところにはあるのに。。。)
ざっくり言うとこんな感じでしょうか。

何故技術者は尊敬されていないか?

一度経営者の方にまじめに聞いてみたいのですが、何で技術者の給料を上げて手厚く優遇してあげないんでしょうか?「いやギャラの問題じゃねぇよやりがいだよ」、という側面もありますが、まあ無いよりはあったほうがいいですよね。

この理由の1つに、技術者を単にコスト部門としか思っていないのではないか?と推測しています。会社の中で、価値を生み出していないと。それは単に、技術上がりの経営者じゃない場合、技術のことを知らないからなんじゃないか、もしくは知ろうとしない、知る気がない、あたりなのではないかしら。 推測ばっかりなので、これを読んだ偉い方がいらっしゃったら、実際のところを教えて下さいm(_ _)m

一方で、技術者側にももちろん問題はあるのだと思います。実際、「誰かが認めてくれる価値を生み出す何か」を生み出すのってすごく難しい話ですから。。。言われたことをこなすのが仕事ではない、というのを理解するには色々と経験を積まないと分からないですし。 また全体的な傾向として、うまいこと価値をプレゼンテーションするのも苦手な方面に分類されますよね。沖縄では誰が教育したのやら、ちゃんとした場を用意して話してもらえば、技術者だろうがみんなプレゼン上手いので感動しますけどね。

人材流動性が低いのは問題

ところで、普通と言っていいのか分かりませんが、ITとかエンジニアリングの世界だったら、皆だいたい数年でステップアップして、次の会社に移って、給料が例えば倍になる、というのがあるべき真っ当なキャリアだ、と思っているんですがこれ認識違いでしょうか? 海外なら実弾飛び交って引き抜きがあるのがあたりまえだし。。。 (10年以上1つの会社を切り盛りしてる人に言われたくねぇよ、と言われると困るけど。。。それについては今は棚上げ(^^;;)

自分はそういう認識なのですが例えば沖縄の場合、業界内で転職する人が案外少ない様な気がするんですよ。これには多分いくつか理由がありそうだと思っていて、たとえば
  • 口ではヤダヤダと言いながら、他に転職する魅力的な職場もないため現状を維持
  • 隣の芝の色がわかるほど、競合他社のことを知らない。知るチャンスもない
  • そもそもあんまりなんにも考えていない(マテ)
辺りでしょうか。

あれ?こう見ると、これ自体は働く側のマインドに問題がありそうですよね?

また、情報系の大学/学科を卒業しても、県外(例えば東京)に就職してしまう学生が多い、という事実も魅力的な就職先が少ない、ということを象徴しているのではないでしょうか。

そう、技術者の意識改革は必要だと思う

技術者は自分の技術を磨いて、それに誇りを持って、安売りしてはいけない、僕はそう思います。 決して、何でもかんでも喧嘩しろっていう煽りではありませんが、最低限、自分のいる業界内を見渡して、社内ではなく社外からの基準で見て、考えて、判断することを放棄してはいけないと思います。そうすれば、より自分や自社のことがハッキリ分かるし、これじゃいけない、と思った時に社内を変えるのか、自分の職を変えるのかも判断も分かりやすくなりますよね。
現場が幸せじゃない会社は、結局のところ良い方向には進まないと思うんです。目指せブラック企業撲滅、IT業界のイメージ底上げですよ。 常に外部からの客観的な目線を意識する、ってのはなかなか難しい話なんですが、これ1つで結構世界が変わるので、オススメです。

それを簡単に実現できるのが、勉強会を始めとするコミュニティですよ!

やっと言いたい着地点に誘導できました。 「なんとか勉強会」と言われるコミュニティって、何かの技術を修得するための会だと思ってる人、結構居ますよね(今これを読んでるあなた、どうですか?)。確かに、以前も話した資料に書きましたが、発表者側や運営側に回れば、勉強になることは色々あります。それにもちろん、ある技術情報を共有したり、拡散したりっていう要素がない訳じゃないです。でも、それって全然本質じゃないな、と最近強く思ってます。

そんなことよりも、実は他人のやってることや他人の目線、他社の基準を垣間見て、世界をチラ見した目で再度自分を見直す、これがコミュニティのより良い活用の1つだ、と今更ながら確信しています。社内でもなかなか居ないようなすごい人が、外のコミュニティにはゴロゴロ居ます。ホント笑えるくらい。

その目線を持てれば、自分が何処に進んでいて、何処に進むべきか、その山は高いのか低いのか、そもそもこの道は登ってるのか下ってるのか、よく分かるはずなんですよ。どうせだったら、高い山に登って、チラッとでも美しい景色見たいですよね?そのために自分の最も貴重なリソースである「時間」を投資するんだから。

なので皆さん、とにかく社外に出て、コミュニティ活動に参加しましょう。それが廻り回って自分の世界を広げ、自分のギャラを上げることになりますよ、というのがこの長いエントリの結論です。

僕が沖縄にいる間に、少しでもエンジニアの価値を経営層に認めさせて、優秀な人達をどんどんコミュニティに参加させて、人材流動性を上げて、結果として全体として給与水準が上がっていくように、微力ながら出来る範囲でコツコツやりますので、皆様よろしくお願いしますm(_ _)m